金属アレルギー、アレルゲン |
ボディーピアスを語るとき、金属アレルギーに付いては回避できない問題があります。
ある種の金属が皮膚に接触すると、かゆみや腫れを生じることがあり、これが金属アレルギーで、アレルギーを引き起こす物質がアレルゲンといえます。 |
アレルゲン
金属アレルギーを引き起こすアレルゲンには数々考えられますが、主にニッケル、バナジウムが挙げられます。
GOLDのピアスにも僅かなニッケルが含まれ、医療用ステンレスと言われるSUS316Lにもニッケルが含まれます(JIS規格ではSUS316Lの場合、ニッケルが12〜15%含有)→ニッケルフリーステンレスを参照
(又、某EU鋼材メーカーのミルシートでは医療用SUS316LVMの場合、ニッケルが0.35%含まれていました)
ニッケルは溶出しやすく、汗をかくと塩素イオンの作用で更に溶出しやすくなり、アレルギーの原因となります。 |
医療用ステンレス
結論から言いますと、医療用ステンレスといわれるSUS316Lでもニッケルは含んでいるわけですから、アレルギー体質の人ではアレルギーが出る可能性があります。→ニッケルフリーステンレスを参照 |
『ノンニッケル』、『ニッケルフリー』 |
アレルギーを最小限にとどめるには、材料中のニッケルを最小限に抑える必要があります。 |
ノンニッケル
要するに、ニッケルを含有する材料を使わないということ。
例えば、
1)チタン合金を用いる。…e-pierceではチタン製ピアスの普及に努めます。→素材豆知識もご覧下さい。
2)GOLDの中でもニッケルを含有しないホワイトゴールを用いる。ホワイトゴールド製もお取り寄せできます。
ただしホワイトゴールドでも若干のバナジウムやシルバーを含んでいるため、ノンニッケルではあるもののアレルギーが出ないとは言い切れませんのでご注意ください。
等が挙げられます。 |
ニッケルフリー
ニッケルを溶出させないか、あるいは含有率を極力下げる。
例として
1)チタンコーティングする
ステンレス製ボディーにチタンをコーティングし、そのままかあるいは着色処理したもの。
チタンでコーティングすることによって、ステンレスからのニッケルの溶出を防ぎます。
メッキではなくコーティングのため、皮膜が剥がれることはまずありません。
e-pierceでは、チタンコーティング品の普及にも努めます。
2)窒化ジルコニウム(ZrN)コーティングする
窒化ジルコニウムはチタンコーティング同様、生体に対しアレルギーの少ない材質と言われています。
WILD CAT社のZirconGoldは、G23グレードチタン基材にZrNをコーティングした物です。
国内外のゴールド色の装飾品は、殆どZrNと言って間違いないでしょう。
色合いは、普通のゴールド色よりやや明るい金色になります。
3)ニッケルフリーステンレス
医療用ステンレスとして古くから比較的ニッケル含有量を減らしたSUS316L等が用いられてきました。
しかしEU諸国では深刻な金属アレルギー対策として、EU Nickel Directive と言う機関の基、医療用ステンレスのニッケル含有量を厳しく制限し、これにパスした材料でないとピアス材料や医療用生体材料として販売できないようになっています。ニッケル含有量0.05%以下の規格ですから、一般的な工業規格の12〜15%よりはるかに含有量は低いです。
UK WILDCAT製ではImplantiumと言う材料がそれに当たり、この規格をパスしているようです。
その他のステンレス製品もEU Nickel Directiveにパスしていると考えられます。
e-pierceが扱うUK製ピアスは、EU Nickel
Directiveにパスし、ニッケルの含有量は147ppm以下、溶出量は一週間に1平方センチ当たり0.1マイクログラム以下で、EU
Nickel Directiveにパスしています。
UKメーカーのEU
Nickel Directive合格証明書
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EU諸国、USA、日本 の違い―e-pierce製品との関連性 |
医療用ステンレスという曖昧な範疇ですが、EUとUSA、日本ではその取り扱いに隔たりがあるようです。 |
EU諸国
先にも述べましたが、ピアス材料、医療用材料としてはEU Nickel Directiveにパスしたニッケルフリーの(含有率や溶出率の規制された)物でないと使用することができません。
e-pierceの製品でUK製あるいはWILDCAT製の物は、ニッケルフリーの医療用ステンレスを使用しています。 |
USA
USAメーカーの物は、316LVMや316LVMFを使用していると表現していても、USA国内でニッケルフリー制限があるかどうかは確定していません。 |
日本国内
医療業界では、先のEU
諸国でのニッケル含有ステンレスの取り扱いを参考にして、ニッケルフリーステンレス(高窒素ステンレス=ニッケルの代わりに窒素を代替とするステンレス)の開発〜採用を検討する鉄鋼メーカー、医療器具メーカーがでてきてはいます。
ただ、国の方針としてニッケルフリーステンレスの規格整備や取り扱いを定めるには至っていないようです。 |
総合的に考察すると… |
1)医療用ステンレスと言えども、ニッケルを含んでおり、アレルギーが発生する可能性がある。
2)医療用ステンレスの内、ニッケルフリーステンレスは耐アレルギー性は高いが、完全ではない。
3)ニッケルを含有しないホワイトゴールドでも、他の微量なアレルゲンによってアレルギーが生じる可能性がある。
4)現存する金属の中で最もアレルギーのリスクが少ない金属はチタン、チタンコーティングである。
そして、e-pierce製品の中でUK製 WILDCAT製の物はニッケルが微量のニッケルフリーステンレスであり、USA製のものはニッケルフリーステンレスかどうかは別として、医療用ステンレスSUS316LVMであるとは言えます。
又、チタン製ピアスも増やしていきます。
又、他のピアスショップでニッケルフリーと記載されていても、その出所に注意し、確認してみることが大切です。
以上の事を踏まえて、正確なピアス選びの参考になさってください。 |